2025/12/9
子どもの健康風邪・発熱
この記事の執筆者

小渕マヤ助産師 / 医療ライター
助産師として病院で勤務する傍ら、性教育とアロマサービスを提供する助産院Coloréを開業。その事業の一環で、正しい知識を伝えるためにライターとしても活動している。

「子どもが風邪をひいて食欲がない……」「何を食べさせたらいいんだろう……」と、不安な気持ちになっているお母さんやお父さんも多いのではないでしょうか。
子どもが風邪をひいたり、下痢をしたりと体調が悪いときは、症状によって食事の工夫が必要です。
この記事では、以下について解説します。
適切な食事で、お子さんの回復をサポートしてあげましょう。
子どもが風邪をひいたとき、回復を早めるためにも食事を意識することは大切です。ここでは、お子さんが早く元気になるよう、食事で意識すべき5つのポイントをご紹介します。
風邪をひいているときは、消化器系の働きが弱くなっていることがあります。そのため、胃腸に負担をかけない消化しやすい食べ物を選ぶのがおすすめです。
例えば、おかゆやうどん、煮込み料理などは、消化しやすく、かむ回数が少ないため、お子さんの体力を消耗させずに栄養を摂取できます。一方、脂質の多い肉類や揚げ物、繊維質の食べ物などは消化に時間がかかるため、体調が悪いときは避けるようにしましょう。
発熱や下痢・嘔吐の影響で、子どもの体内の水分や電解質は失われがちです。こまめに水分摂取して、脱水を防ぐようにしてください。
また、ビタミンやタンパク質などの栄養素を意識した食事を取ると、発熱で失われた栄養を補えます。例えば、みかんやいちごなどの果物にはビタミンCが多く含まれています。また、良質なタンパク質の摂取には、豆腐や鶏むね肉などがおすすめです。水分と栄養をバランス良く補給できるような食事を心がけましょう。
風邪のときは、お子さんの食欲がなくなることがしばしばありますが、無理に食べさせようとすると、かえってストレスになり、食事が嫌いになってしまう可能性があります。
食欲がないときは、口当たりが良く、少量でもエネルギーになるような、ゼリーやプリン、フルーツなどを食べるといいでしょう。その際、お子さんが「食べたい」と思うものを優先し、無理なく与えることが大切です。
一度にたくさんの食事を与えると、胃に負担がかかり、吐いてしまう可能性があります。そのため、食事は少量ずつ回数を分けて与えるようにしましょう。
前述したとおり、食事と合わせて水分補給をこまめに行うことも大切です。スプーンで一口ずつ与えたり、ストロー付きのカップを使ったりするのも良いでしょう。食べられるときに食べられる量を、無理なく与えてください。
薬は、食事が取れないときでも医師の指示に従って飲ませるようにしましょう。薬によっては、胃の負担を減らすために食事後に飲むよう指示されている場合もありますが、食事がまったく取れないときは、水や少量のジュースで服用させるのも可能です。
子どもの風邪の症状は、年齢によって異なります。新生児から生後6カ月までは、母親から受け継いだ抗体によって、風邪に対する抵抗力があるものの、それ以降は減少するため風邪をひきやすくなります。そして、1歳以降では保育園での集団生活が始まり、さまざまなウイルスにさらされる影響で、風邪をひくリスクが高いです。
ここでは、お子さんの年齢と症状に合わせた具体的なメニューをご紹介します。
ここでは、冷蔵庫にあるものでサッと作れる、お子さんが風邪をひいているときにぴったりな簡単レシピを5つ紹介します。
風邪のときは何を与えるかだけでなく、何を避けるべきかを知ることも大切です。ここでは、お子さんが快方に向かうのを助けるおすすめの食べ物や飲み物と、避けるべきものについて具体的にご紹介します。
風邪のときは、消化がよく、水分や栄養を補給できるものがおすすめです。
| 食材 | おすすめの理由 |
|---|---|
| ゼリー、プリン | 口当たりやのどごしが良いため、食欲がないときでも食べやすい。水分補給にも役立つ |
| バナナ | 消化によく、カリウムなどの栄養素も豊富。柔らかく、食べやすいのもポイント |
| ヨーグルト | 乳酸菌が腸内環境を整え、免疫力アップにも期待できる。ただし、冷たすぎないように常温に戻してから与えるのが良い |
| すりおろしリンゴ | 水分とビタミンを補給でき、消化にも優しい |
| ポカリスエット、アクエリアスなどの経口補水液 | 発熱や下痢、嘔吐で失われがちな水分と電解質を効率的に補給できる |
風邪のときは、胃腸に負担をかけたり、症状を悪化させたりする可能性のある食べ物や飲み物は避けましょう。
| 食材 | 避けた方が良い理由 |
|---|---|
| 脂っこいもの(ラーメンや揚げ物など) | 消化に時間がかかり、胃腸に負担がかかる |
| 冷たいもの(アイスクリーム、冷たいジュースなど) | 体を冷やし、胃腸の刺激になる。症状によっては咳を誘発することも |
| 辛いもの | 胃腸の刺激になり、下痢や腹痛を悪化させる可能性がある |
| 炭酸飲料 | 胃にガスがたまり、吐き気を引き起こす可能性がある |
| 固いもの(せんべいやクッキーなど) | 消化に悪く、のどに負担をかける |
| 生もの(刺身や生卵など) | 食中毒のリスクがある |
風邪から回復するためには、食事だけでなく十分な睡眠と室温・湿度管理が大切です。以下に詳しく解説します。
風邪を早く治すには、十分な睡眠と安静が何よりも大切です。お子さんの体力回復を促すためにも、無理に遊びに誘ったりせず、ゆっくり休ませるのを優先しましょう。お子さんがぐっすり眠れるようなサポートをしてあげてください。
また、日中も激しい運動は避け、絵本を読んだり穏やかな遊びで過ごしたりしましょう。
過ごしやすい室温と湿度を保つことも、風邪の症状を和らげる上で大切です。室温は夏は26~28℃、冬は20~23℃、20~25度を目安に、湿度は50~60%に保つと良いでしょう。
乾燥した空気は、喉や鼻の粘膜を刺激し、咳を悪化させることもあります。加湿器があるのがベストですが、もしもない場合は、濡れたタオルを干したり、お湯を張った洗面器を置いたりするのも有効です。
お子さんが風邪をひいたときは、消化に良いものや水分と栄養をしっかりと補給できるものを選び、食欲がなくても食べやすいものを少量ずつ与えることが大切です。ただし、脂っこいものや刺激物は胃腸に刺激を与える可能性があり、避けた方が良いでしょう。
また、食事だけでなく十分な睡眠をとることやこまめな水分補給、室温や湿度といった環境を整えるのも回復のために重要なポイントです。
ご紹介したレシピを取り入れながら、お子さんの看病をしてみてください。